2024-02-20
不動産売却の際は、さまざまな注意点があります。
相続した不動産を売却する際は、特有の注意点もあるので、事前に押さえておくと安心です。
そこで今回は、相続した不動産を売却する際に押さえておきたい注意点を3つピックアップして解説します。
山口県や福岡県全域で相続した不動産の売却をご検討中の方は、ぜひご参考にしてください。
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相続した不動産を売却する際の大きな注意点は、名義変更が必要なことです。
その理由は、不動産売却は名義人しかできないからです。
不動産の名義を変更する際は所有権移転登記が必要で、相続にともなう所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれます。
相続登記の基本的な手順は、以下のとおりです。
まず、不動産の名義人となる相続人を決定します。
遺言書がある場合は、基本的にその内容にしたがって相続人が決まります。
遺言書がない場合は、法定相続分で分けるか、遺産分割協議をおこなって相続人を決めましょう。
法定相続分とは、法律によって定められた相続割合です。
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の場合は、「配偶者2分の1、子ども1人につき4分の1」が法定相続分です。
法定相続分によって複数人が不動産を相続した場合は、それぞれの所有持分で共有名義にします。
もう1つの遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決めることです。
相続人全員が合意すれば、どのような内容で遺産を分けても問題ありません。
遺産の分け方が決まったら、その旨を記載した遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、相続登記の必要書類の1つです。
相続登記の必要書類には、ほかにも被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本などがあります。
必要書類は遺産分割の方法によって変わるので、しっかりと確認しておきましょう。
必要書類が準備できたら、不動産のあるエリアを管轄している法務局に申請すると、不動産の名義変更が完了します。
相続登記の注意点は、2024年4月から義務化されることです。
これまで相続登記は義務ではなかったので、不動産の名義を相続人に変更しなくても、ペナルティを科されることはありませんでした。
しかし、相続登記が義務化されると、不動産を相続したことを知った日から3年以内に手続きしなくてはなりません。
正当な理由がないのに期限内に相続登記をしないと、10万円以下の過料を科せられるので注意しましょう。
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相続した不動産を売却する際は、期限を意識することも注意点の1つです。
とくに気にするべきなのは、相続税の納付期限と、譲渡所得に設けられている特例の期限です。
これらの期限を気にするべき理由について、確認しておきましょう。
基礎控除額を超える財産を相続すると、相続税が課されます。
相続税は不動産にも課されますが、納付は原則として現金です。
そのため、納税する現金が足りず、不動産売却による現金化が必要になることがあるでしょう。
その際に押さえておくべき注意点は、相続税は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税をしなくてはならないことです。
不動産売却には通常3か月から半年ほどかかり、買主が見つからない場合はさらに長引く可能性があります。
納付期限までに不動産売却が完了しないと、相続税を納めることができないので、できるだけ早く売却を開始しましょう。
なお、不動産売却を急ぐ場合は、仲介ではなく買取もおすすめです。
買取とは、不動産会社が物件を直接買い取る方法です。
買取価格は相場よりも安くなりますが、買主を探す必要がないので、不動産売却をスピーディーに完了できます。
期限までに売却したい場合などに有効な方法なので、必要に応じて検討してみましょう。
不動産売却によって得た利益である譲渡所得には、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得にはさまざまな特例が設けられており、利用すると節税につながります。
相続した不動産の売却で使えるおもな特例は、「取得費加算の特例」と「相続空き家の3,000万円特別控除の特例」です。
取得費加算の特例とは、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できる特例です。
取得費は譲渡所得を計算する際に使われ、多いほど譲渡所得が減って節税につながります。
相続空き家の3,000万円特別控除の特例は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる特例です。
この特例を適用した場合、3,000万円までの譲渡所得には譲渡所得税がかかりません。
ただし、これらの特例を利用したいときは、期限に関する注意点があります。
取得費加算の特例を適用する場合は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却しなくてはなりません。
相続空き家の3,000万円特別控除の特例は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが、要件の1つです。
先述のとおり、不動産売却にはそれなりの時間がかかるので、特例を利用するためには3年以内を目安に売却を進めましょう。
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不動産会社を介して不動産売却をする場合は、媒介契約を結びます。
媒介契約には3つの種類があり、それぞれ特徴や注意点が異なります。
相続した物件を、納得のいく内容で不動産売却するためには、その物件やご自身の考えに適した媒介契約を選ぶことが大切です。
そこで、3つの媒介契約の特徴と注意点を、それぞれ確認しておきましょう。
一般媒介契約の大きな特徴は、複数の不動産会社と契約を締結できることです。
ご自身で購入希望者を見つけた場合は、不動産会社を介さずに直接取引ができます。
注意点は、レインズへの登録義務と、売主への販売活動状況の報告義務がないことです。
レインズとは、不動産情報を交換するためのコンピューターネットワークシステムであり、登録されると売りたい物件の情報を拡散できます。
早期売却が見込める物件でない場合は、レインズに登録されないと、不動産売却に時間がかかってしまうかもしれません。
専任媒介契約を締結すると、レインズへの登録と売主へ販売活動状況を報告する義務が不動産会社に生じます。
レインズへの登録は契約から7日以内、販売活動状況の報告は14日に1回以上と定められています。
相続した不動産の売却が不安なときは、定期的な報告があると、安心感を得られるでしょう。
注意点は、一社としか契約を締結できないことです。
なお、直接取引は可能なので、ご自身で買主を見つけたときは不動産会社を介さずに取引ができます。
専属専任媒介契約では、レインズへの登録は契約から5日以内、販売活動状況の報告は7日に1回以上と不動産会社に義務付けられています。
専任媒介契約よりも日数が短くなるので、より手厚いサポートを感じられるでしょう。
注意点は、一社としか契約を締結できないことと、直接取引ができないことです。
相続した不動産の買主をご自身で見つける可能性があり、直接取引を希望する場合は、ほかの媒介契約を選択しましょう。
相続した不動産を売却する際は、さまざまな注意点があります。
注意点を知らないと、不動産売却に支障が出たり、特例を受けられなかったりするかもしれません。
満足できる不動産売却をおこなうためには、事前に注意点をしっかりと押さえておきましょう。